第4話
はじめに|住宅改修は「工事前」の確認が大切です
そんな不安を感じるようになったら、いきなり自費でリフォームする前に確認してほしい制度があります。それが、介護保険の住宅改修費制度です。
この制度では、要支援・要介護の認定を受けている人が自宅で安全に生活を続けるため、一定の条件を満たせば費用の一部が支給されます。
ただし、ここで非常に重要な注意点があります。
「工事をしてから申請すればいい」と考えてはいけません。
住宅改修費制度を利用する場合は、原則として工事を始める前に市区町村へ相談・事前申請することが必要です。この順番を知らないと、せっかく対象になる工事でも全額自己負担になってしまう可能性があります。
この記事では、77歳の年金生活者である私(アッケ)が調べた住宅改修費制度について、「何が対象なのか」「いくらまでなのか」「どう申請するのか」を分かりやすく整理してお伝えします。
1.介護保険の住宅改修費とは?
介護保険の住宅改修費は、要支援・要介護の人が自宅で安全に生活を続けられるよう、一定の小規模な住宅改修を行った場合に、その費用の一部が支給される制度です。
介護保険法では、要介護者向けの「居宅介護住宅改修費」、要支援者向けの「介護予防住宅改修費」が定められています。
ここで重要なのは、「年を取ったから家をきれいにしたい」という一般的なリフォームは対象外ということです。あくまで介護が必要な人が、自宅で生活するために必要な小規模工事(手すり取り付けや段差解消など)が対象となります。
2.どんな工事が対象になるの?
厚生労働省の告示では、主に以下のような工事が対象として定められています。
主な対象工事の一覧
- 手すりの取り付け:廊下、トイレ、浴室、玄関などへの設置
- 段差の解消:室内、玄関、浴室などの段差を解消・軽減
- 床材の変更:滑り止め対策や車いすの移動をスムーズにするための変更
- 扉の取り替え:開き戸から引き戸・折れ戸等への変更
- 便器の取り替え:和式便器から洋式便器への取り替え
その他、付帯して必要となる工事
上記工事を行うために直接必要となる付帯工事(壁の補強や下地処理など)も対象となる場合があります。ただし、自己判断せず事前にしっかり相談することが大切です。
3.支給限度基準額と自己負担の仕組み(20万円ルール)
住宅改修費の支給限度基準額は原則20万円です。これは「20万円がそのままもらえる」という意味ではありません。
負担割合による支給額の違い
所得に応じて、自己負担額(1割〜3割)が変わります。
20万円を一度に使い切る必要はありません
支給限度額の20万円は、一度の工事で使い切る必要はありません。残額を管理しながら分割して利用できます。
例えば、最初に玄関の手すりで5万円使い、後から浴室改修で10万円使った場合、残りの枠は5万円(20万 – 5万 – 10万)となります。「目の前の不便」だけでなく、将来必要になる場所も見据えて計画を立てましょう。
4.一番大事なのは「工事前」の事前申請
住宅改修費制度を利用するうえで、最も覚えておいてほしいポイントです。
住宅改修費は、市区町村が事前に「その改修の必要性」を確認して支給する仕組みです。順番は必ず「先に相談・事前申請 ➔ 確認後に工事」です。
5.住宅改修費を利用するときの7ステップ
実際に利用するときの基本的な手順は以下の通りです。
- STEP1:家の中の危険を確認する玄関、トイレ、浴室などの不便・危険を整理)
- STEP2:ケアマネジャーなどに相談する(身体状況に合った改修を検討)
- STEP3:市区町村に確認する(窓口で制度や必要書類を確認)
- STEP4:工事内容と見積もりを確認する(どこが対象工事になるか精査)
- STEP5:市区町村へ事前申請する(必要書類を揃えて工事前に提出)
- STEP6:確認後に工事を行う(事前申請が承認されたら施工開始)
- STEP7:工事完了後に必要書類を提出する(領収書等を提出し、給付を受ける)
6.利用時に知っておきたい注意点&自治体制度
賃貸住宅で暮らしている場合
賃貸住宅の場合、勝手に壁へ手すりを付けたり工事したりすることはできません。必ず事前に物件の所有者・管理会社の承諾を得る必要があります。
自治体独自の助成制度も確認しよう(東京都・神奈川県など)
「介護保険の対象外と言われた」からといって諦める必要はありません。自治体によっては独自の住宅改善助成制度を設けている場合があります。
- 東京都:区市町村ごとに介護保険外の住宅改修費助成事業を実施(※自治体により内容・実施有無が異なります)。
- 神奈川県:県内市町村の介護保険窓口一覧を公開し、相談体制を案内。
相談時は「介護保険の対象外だった場合、自治体独自の住宅改修助成はありますか?」と確認してみるのがおすすめです。
7.住宅改修は「お金」だけでなく「転倒予防」の視点で考える
年金生活では「無駄なお金を使いたくない」と慎重になりますが、住宅の危険を放置して転倒・骨折すると、長期入院や要介護度の重度化につながり、結果的により大きな費用と負担が発生します。
住宅改修は「家をきれいにするリフォーム」ではなく、「自宅で安全に暮らし続けるための環境整備(転倒予防)」という視点で考えることが大切です。
8.住宅改修費を利用するときのチェックリスト
申請を進める前に、以下の項目をチェックしてみましょう。
- [ ] 要支援・要介護認定を受けているか
- [ ] 危険な場所と改修の目的を整理したか
- [ ] ケアマネジャーや市区町村の窓口に相談したか
- [ ] 見積書と工事内容が介護保険の対象か確認したか
- [ ] 工事前に事前申請を行ったか(最重要)
- [ ] 自己負担額(1〜3割)を確認したか
- [ ] 賃貸住宅の場合、所有者の了解を得たか
- [ ] 自治体独自の助成制度も確認したか
まとめ|住宅改修は「工事前の確認」が最大のポイント
今回のポイントのまとめです。
- 介護保険の住宅改修費は、手すり設置や段差解消などの小規模工事が対象。
- 支給限度基準額は原則20万円(自己負担は1〜3割)。
- 必ず「工事前に事前申請する」こと。
- 自治体独自の助成制度が利用できる場合もある。
アッケの一言
家の中で「ちょっと怖いな」と感じる場所が出てきたら、我慢して転ぶまで待つ必要はありません。そしていきなり工事を頼む必要もありません。
まず相談です。「この工事、介護保険は使えますか?」
この一言を窓口やケアマネジャーに聞いてみること。使える制度を適切に使うことが、大切な生活防衛につながります。
次回予告
次回、第5話では「介護保険の福祉用具レンタル」について取り上げます。
「車いすや介護ベッドは買わなければならないの?」「自己負担はいくら?」といった疑問を、年金生活者の目線で分かりやすく解説します。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました
ここまで第4話を読んでいただき、本当にありがとうございました。
年金生活では、数万円の出費でも家計に大きく響くことがあります。
だからこそ私は、「知らなかったから、全部自分で払ってしまった」ということを、できるだけ減らしたいと思っています。
制度は難しい言葉で書かれていることが多く、調べるだけでも疲れてしまいます。
私自身も最初から知っていたわけではなく、一つずつ調べて「知っておいたほうがいい」と感じたことをお届けしています。
もし今、住宅改修を考えているなら、まずは相談から始めてみてください。これからも一緒に、「知らないことで損をしない年金生活」を考えていきましょう。


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